これは中世の時代、小さな村に住んでいた女の子、オトのものがたり。
オトは村ではちょっとした才能のあるギタリスト、その音楽は人々を魅了し、心を癒していましたとさ。さてそんなオト、実はただの奏者ではありませんでした。オトには特別な秘密があったのです。
・・・ある日、オトは森の奥深くにある老木の下で、ちょっと奇妙な楽器を見つけました。それは銀色のギターでした。オトはそのギターを手に取りはじいてみると、不思議なことが起こりました。音色はまるで風のささやきのよう、旋律が空気中に広がり、木々が揺れ、花々が咲き誇りました。オトは驚きましたが、同時に喜びが湧き上がるのを感じました。オトは毎晩ギターを奏でることを心から楽しみ、その音楽は星々さえも踊らせていました。
ある夜、オトの演奏を聴きに来たという一人の旅人がいました。旅人はオトの嬉しそうな横顔を見つめながらギターの音色にじっと耳を傾けていました。「今の音程よりほんの少し高いこの音に合わせなさい」。そう言って旅人は音叉を手渡しました。オトは音叉を軽くたたき楽器に当ててプ~ンと響かせました。おもむろに調弦を始め、音叉と銀色ギターの音をピタッと一致させました。再びオトは演奏を始めると何かにとりつかれたように夢中になって弾きました。
旅人は目を閉じて、オトの演奏に耳を傾けていました。演奏が終わると、旅人は静かに言いました。「君の音楽には特別な力があるね。願いを一つ叶えてあげよう。何か望みはあるかい?」
オトは驚きましたが、少し考えてから答えました。「本当に?それなら…」オトはしばらく考え込みました。ふと、夜空を見上げたその時、座っていた岩場に置いてあった音叉が落ちて、キ~ンと透き通る音が鳴りました。「あっ!そうだ、それだ!」オトはひらめきました。「私たちは音楽を通じて、心の奥底から何かが目覚めるような、共鳴現象を起こすことができるんです。普段は忘れてしまうけれど、本当に大切なことを思い出させてくれるんです。いつの時代にもある聞き馴れた言葉で言うなら、愛とか夢、笑顔、平和、とか。私たちはみんな、お互いかけがえのない存在だと心では分かっている、家族のようなこの上なく大切な絆で結ばれているということに本当は気づいている、それなのに、いつもそれを忘れてしまうみたい。」そう話すオトの視線は銀色ギターに向かっていました。「だから一緒に奏でるってことはつまり、音叉そのものになること。心の音叉に!」
オトの言葉に旅人は微笑みました。「君の願いはとても素晴らしいね。」旅人の姿が変わり、神々しい光に包まれました。オトは驚きましたが、すぐにその場にひざまずきました。「あなたは…」
旅人は優しくうなずきました。「君の純粋な心に感動したよ。」
オトは感謝の気持ちでいっぱいになり、深くお辞儀をしました。「ありがとうございます。私はこのギターで、もっと多くの人々に音楽の力を届けます。」
神様は優しく言いました。「その心を忘れずに、これからも奏で続けなさい。」そして、銀色のギターに手をかざし、魔法の言葉を唱えました。ギターは一瞬輝き、そして静かに元の姿に戻りました。「これで君の音楽は、聴く者の心に響き、共鳴をもたらすだろう。」
オトは再び感謝の気持ちを込めてお辞儀をしました。オトが顔を上げたときそこにはもはや誰もいませんでした。ギターの内側にはこう刻まれていました。「Impossible crazy Mission Force…(不可能に見える気違いじみたミッションを成し遂げる力)・・・ありがとうございます、神様。」
オトが再びギターを奏で始めると、その音色はまるで音叉のように、空気中に広がり、見えないところから不思議と音が響き渡りました。その音は、聴く者の心の奥底に眠る声、普段は聞こえない内なる声、良心の声、神様の声を呼び覚ましました。
オトの音楽は、村々を巡りながら、人々の心に共鳴をもたらしました。人々は共に音楽を奏でることで、心の音叉となり、互いの心の声を響かせ合いました。オトが奏でるギターは、それを聴く者、ともに弾く者の心に和解と協調をもたらす魔法となりました。困ったことがあっても音楽で乗り越える力を持つようになりました。争いが終わり、人々は互いに尊重し合うようになりました。そうです、オトの音楽の旅は行く先々で人々の心の中にある何か同じ思いを呼び覚まし共鳴させました。まさに音叉のように・・・。オトの音楽はやがて伝説となり、中世の暗闇を照らす光として語り継がれていきましたとさ。おしまい。
「心の音叉に」・・・これが、IcMF-BigBandが目指す世界観です。
「音叉」は目に見えない空間から特定周波数の音を共振させ耳に聞こえる音声として紡ぎ出す。それとちょうど同じように、人間の心の中に誰もが持つ美徳、いつも目に見えてるわけではないけれどとても重要なこと、調和や愛や尊敬、相互補完、利他的精神などの誰もが大切だと思うその心の声を、共鳴させ呼び覚ます・・。「IcMFビックバンド」に参加し同じ一つの楽曲を演奏することが、そのような音楽が持つ不思議な力をドライブさせることを願っています。