オーギュメント・コードを入れた「ふるさと」って?
前回はディミニッシュ・コード、今回はオーギュメント・コードの使用例を紹介します。下の譜例には2つのオーギュメント・コードが出てきます。この2つのaug、使用法としては異なるものです。それぞれどんな意味合いを持っているのでしょうか?
オーギュメント・コードの構成音とコードフォーム
まずはこのオーギュメント・コードの構成音やギターでの押さえ方を確認しておきましょう。
一般的な、オーギュメント・コードのルート・フォームを描き出してみます。「丸暗記したいセブンスコード主要フォーム:知識ゼロからのギターコード攻略(14)」ではaugM7のコードフォームをいくつか紹介はしましたが、ここではaugのトライアドをとりあげます。augトライアドは三和音ですのでMaj7やm7b5コードなどの四和音に比べ何だか音数が少なくて次元が低いようにも思えるかもしれません。しかし12半音階をきれいに3等分したトライアドとなっているところに注目してください。これは12半音階を4等分したdim7コードにある意味似ていて、コードを転回しても同じコードフォームが使えます。言いかえれば、GaugもBaugもD#augもみな同じ構成音、同じコードだということです。このような性格から、実際はトライアドのほうが使い勝手がよく使用頻度も高いと言えます。
Gaugのコードフォーム図です。⑥弦ル―トのフォーム、⑤弦ルート、④弦ルートと、それぞれコードの音域が8度のものと10度のものを載せました。
はてな?な不思議サウンドのオーギュメントも使い道は2つ
オーギュメントというと「理科の実験」を連想しそうな不思議サウンドが特徴ですが、よくある使用パターンは次の2つのケースではないでしょうか。まず一つ目は、メジャーコード内の完全5度(属音)が半音階的に増加変化してゆくケースです。英語で「augment」という単語を調べてみれば「増加する・させる」の意味です。Cのコードで例を挙げれば、左図の例では「C⇒Caug⇒F」というコード進行でコード内声が「G(ソ)⇒G#(ソ#)⇒A(ラ)」と 半音上昇して味わいのあるサウンドを醸しだします。
同様な例として「C⇒Caug⇒C6(Am)」や「C⇒Caug⇒C6⇒C7⇒F」などがあります。
もう一つのケースはドミナント・セブンス・コード(属七)の装飾として使用されるものです。ここでも半音階的なアプローチを内声部に作りだす(右図)という現象が出てくるのもしばしばではありますが、単純に本来G7であるところにテンションつまり装飾音を付加してサウンドに面白みを出すためにaugを使うというわけです。G7をGaug7に変えた場合、これはサウンド的にはG7(b13)と同じになります。
Gaug7構成音・・・・G・B・D#・F
G7(b13)構成音・・・G・B・D・F・Eb(=D#)
ナインス系や11th・13th系のテンションコードにおいては5度音程(G7の場合のD音)が省略されることが通例ですので、この2つのコードはますます区別がつかなくなって、ほぼ同義で使用されます。
以上、オーギュメント・コードにおける、メジャーコードの5度を増加(上昇)させて6度音につなげる使用法と、属七の和音に付加するテンションの一種としての使用法の、2つの考え方について解説いたしました。これを踏まえてもう一度、冒頭の「ふるさと」の例を確認してみていただけたらと思います。メロディをはさめば簡単なソロギター風に弾けるよう、コードフォームも載せてありますので是非弾いてみてくださいね☆