前回・前々回でマイナー・キ―の場合の使えるコードを紹介したわけですが、題材の「ふるさと」自体を短調変えてしまいましたね・・・。今回は、原曲の長調のままで、かつマイナー・ダイヤトニック・コードを随所にブレンドするという、高度な^^コードのアイデアを紹介してみたいと思います。
サブドミナント・マイナーの基本
まずはいわゆる「サブドミナント・マイナー」の標準型、ⅣMaj7の代わりにⅣのコードをm7にするというものです。これはポップスでもロックでもよく耳にするアプローチで、とくに曲の終わりに使われるケースが多いような気がします。
ふるさとにおいても、FのところをFmに代えてみるとグッと奥ゆかしい味わいになったのではないでしょうか。このⅣmの系統としてm7の他にm6もよく使用されます。
Ⅱm7b5コードを使う
ところで、m6コードはm7コードのb7(短7度の音)の音の代わりにM6(長6度)を入れたマイナーコードです。そしてこのⅣm6はⅡm7b5と全く同じ構成音になっています。これらを五線譜上で見比べてみてください。
Fm7構成音=F・Ab・C・Eb
Fm6構成音=F・Ab・C・D
Dm7b5=D・F・Ab・C
構成音が似ているということは、コードの響きも似てきます。これら3つの例はどれも同じような雰囲気を持っていると感じられるのではないでしょうか。Dm7b5ーG7と来ますと、これはマイナー・ツー・ファイブを形成しています。ある意味、Cmに行くと見せかけてCメジャーにというこのサウンドがたまらない訳です(^^)
ちなみに、構成音が似ているために標準のダイヤトニック・コード上にないものでも同様の機能を発揮するコードという話が出来てましたので補足しておきます。トニック代理の代表であるⅥm(例の場合Am)ですが、これの代わりによく使用されるコードとして#Ⅳm7(b5)を挙げておきます。キーがCの場合、F#m7(b5)のことですが、これはAm6と同じ構成音を含む四和音です。
もうひとつあったⅡのコードはbⅡMaj7
構成音が似ているということ点で、もうひとつの応用例を紹介しておきます。Fmにb6(短6度)を加えてさらにそれを転回させるとDbMaj7になりました。これをFm7あるいはDm7b5のところに入れ替えてみたコード進行例も確認してみてください。
Fm7構成音=F・Ab・C・Eb
Fm(b6)構成音=F・Ab・C・Db
DbMaj7=Db・F・Ab・C
いかがでししょうか?メジャー・ダイヤトニックだけからだと思いつかなかったようなコードのバリエーションになってきますね。といっても、何の理由もないデタラメなコードを持ってきたという訳では無いのですね。こうして理論に裏付けられたコード進行は、もちろん状況次第ですが、しっかり機能を果たしてくれます。そして、ありきたりではない輝きや奥ゆかしさを与えることも可能になるのが、少し実感できたのではないでしょうか。ぜひ参考にしていただき、自分なりに様々なコード進行を編み出してみてくださいね。