セカンダリー・ドミナント:ダイヤトニックによるコード進行その③:知識ゼロからのギターコード攻略(29)

セカンダリー・ドミナントを使用する

前回はダイヤトニック・コード7つの入れ替えについてやりました。ダイアトニック・コードを使えばコード進行を豊かにすることが出来るのがお分かり頂けたのではないかと思います。今度は部分的にコードの音を変えることで更に色合いを豊富にします。というわけで、ダイヤトニック・コードの7つの基本コード以外のコードを使っての代理コード進行について説明してゆきます。7つあるダイヤトニック・コードとは異なるルート音のコードであったり、同じルート音でもコードのタイプが異なる場合これらを「ノン・ダイヤトニック・コード」と呼びます。

 

今回はこのノン・ダイヤトニック・コードを使った代理コード進行のうち、「セカンダリー・ドミナント」という内容について紹介します。これはダイヤトニック上の本来のドミナント・モーションである「Ⅴ7ーⅠ」というコード進行に対して、副次的にこれと同じ働きをするコード進行を作り出す作業と言えます。


まずドミナント・モーションについてのおさらいです。ドミナント・コードとはダイヤトニック・コードの中ではV7のことでしたね。このⅤ7からⅠへのコード進行が最も安定的に聞こえるのですが、その理由はトライトーンと呼ばれる不安定な響きが最も安定した響きのⅠコード(の1度・3度の音)へと解決(移動)するコード進行であるためです。


この「Ⅴ7-Ⅰ」進行を疑似的に起こす、つまりあるコードを仮にⅠと見立ててそこに向ってドミナントセブンス・コードを仕掛けるということです。・・・言葉だけで説明すると、難しさの煙が既に立ち込めてきたようですので下の譜例をご覧ください^_^;

「ごく標準的な」ふるさと

「ごく標準的な」ふるさと
セカンダリー・ドミナント・コード進行例① 「ごく標準的な」ふるさと

2小節目から3小節目にかけての「C7-FMaj7」というコード進行、これは本来はCMaj7であったところをFをⅠと見立ててC7に変化させた、というケースです。


上記と合わせてさらに3つ、セカンダリー・ドミナントを使用したコード進行の例を「ふるさと」末尾4小節で紹介します。それぞれ曲想がこのように変わるということをサブタイトルで表してありますのでご参考に(あくまでわたくし個人の発想です、あしからず)。

 

ここで行き先のコードはMaj、m、7でもあったりします。到着先は完全4度上の音ですので、仕掛ける音は完全5度上(完全4度下)の音ということになります。

「切なくも楽しかったなぁ」ふるさと

「切なくも楽しかったなぁ」ふるさと
セカンダリー・ドミナント・コード進行例② 「切なくも楽しかったなぁ」ふるさと

この例では「D7-G7」のところ、GをⅠに見立ててDm7であるところをD7に変えています。

「懐かしさに感きわまるっ!」ふるさと

懐かしさに感きわまるふるさと
セカンダリー・ドミナント・コード進行例③ 「懐かしさに感きわまるっ!」ふるさと

Am7のあとの「A7-Dm7」のところです。DmをⅠに見立てて本来Am7であるところをA7に変えています。

「思い出すたびにつらくなる・・・」ふるさと

思い出すたびにつらくなるふるさと
セカンダリー・ドミナント・コード進行例④ 「思い出すたびにつらくなる・・・」ふるさと

この例はⅡとⅤ(ツー・ファイブ)をセットにしてセカンダリー・ドミナントを仕掛けるケースです。Cのキーのダイヤトニックで「DmーG7ーC」という進行がよくありますが、これがⅡⅤⅠのコード進行ですね。Ⅴコードに合わせてその完全4度下のm7コードを挿入することが出来ます。今回の例では「GーCーF」という進行でそれが出てきます。本来G7であるGはGm7に、本来CMaj7であるCはC7に、変えられています。後半には典型的なマイナー・ツー・ファイブ・ワン進行が出てきています。これに関しては別の機会に詳しく扱いますが、ここでもやはり本来Em7であるはずのEのコードがE7となって続くAmのドミナントコードに変化しています。


いかがでしたか?今回は行き先のコードがⅡ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵという、4種類の行き先へのセカンダリー・ドミナント使用例でした。


理論的には上記以外にもさらに行き先Ⅲへ、行き先Ⅶへのドミナント・セブンス・コードがあるわけですが現実的にはしっくりこないことが多いです。なぜならダイヤトニック上の変化させる音数が多くなればなるほど、元の調性からかけ離れてゆき、完全な転調に聞こえてしまったり、違和感あるコード進行に聞こえるからです。ここでも理論はあくまで理論として、自分自身の耳と感性を信じて下さい。



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