音には3種の呼び名がある~視点を変えれば見えてくるコードの謎②~
前回の「知識ゼロからのギターコード攻略(2)」では5つのコードフォームによるCメジャーと、ドレミの中の何の音を鳴らしているのかについてでした。コードの中身の音が何かを知るためには、ギターの指板上の音を覚えていかなければならないわけです。よくギターの教本や理論書にも指板の図が載せてあったりしますが、それをただ見つめていても簡単に覚えられるものではありませんよね。一時的に暗記はできるとしてもしばらくしてほとんど忘れた・・・というのが関の山でしょう。
単なる暗記だけでは到底、攻略することはできません。理解が重要です。ギターのこと、音楽の理論的な法則性などを、実際に聞こえるサウンドと共に理解し消化してゆくこと。そうして少しずつ少しずつ音も覚えてゆきます。本当に「知っている」ということがただ単に「覚えている」ということをはるかに凌駕するということですね。個人的な経験を例に挙げますと、学生のころ歴史の年号を覚えるのに「いい国つくろう(1192年)、鎌倉幕府・・・」のような語呂合わせに頼って丸覚えしようとした時期がありました。歴史的事件というのは何らかの理由があって起きてくる訳ですがそういう背景など知ろうともせず、ただ年号と出来事の名前だけ暗記するという方法です。テストの点数は前日の勉強の度合いに大きく左右され、テストが終われば記憶も一緒に過ぎ去るというものでした。そんななか、一人の教師のアドバイスから、歴史上の数々の出来事を一つの大きな物語として見つめるようになったとき、歴史の流れが分かってきて年号も自ずと覚えられるようになった・・・。それからは試験でも安定した結果が出せる様になったのを思い出します。
コードを本当に攻略しようと思うなら、音の名前やサウンド、音楽の仕組みやコードの理論などを大局的に捉える視点が必要だということです。時間はかかるかもしれませんが、一つひとつ理解してゆくことが結局は近道になることでしょう。またその過程は音楽の面白さの発見と、自分自身の音楽性の成長を実感する充実した旅にもなるはずです。
さて上の図ですが、これはギター指板上に横一直線にドレミファソラシドを表示したものです。ギターという楽器は②弦の開放弦(0フレット)の音がB(=シ)となっています。ド~ドまでの1オクターブを横一直線上に並べるにはこの②弦上が最も都合がよいわけです。他の弦ではミ~ミ、ソ~ソなどのようになってしまします。
これに対し下の図ですが、これは「ドレミ~」を「CDE~」の英文字に置き換えて表示したものです。
ここで基礎知識をひとつ。「音の名前をどう呼ぶか」は国によって少々異なります。細かい部分を説明しだすとややこしくなるので、ここでは一般的な理解に留めて説明します。
ドレミファソラシド・・・イタリア語
ハニホヘトイロハ・・・日本語
CDEFGAB(シーディーイーエフジーエービー)・・・英語
CDEFGAH(ツェーデーエ-エフゲーアーハー)・・・ドイツ語
コードを表示するとき、コードネームは普通、英語で表されます。英語以外の表記法もありますがコードに関しては英語が主流と言って問題ないでしょう。ですので、コードを攻略するには英文字の音名を知らなければならないわけです。
英文字音名を使うもうひとつの理由があります。「ドレミ~」は「階名」として使われることがあります。例えば、Eメジャーのスケール「E・F#・G#・A・B・C#・D#・E」という音階を「ミ・ファ#・ソ#・ラ・シ・ド#・レ#・ミ」とは読まないで「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と読ませる場合があるのですが、これを階名と呼びます。これに対して「CDE~」は「音名」と呼ばれ、絶対音を指します。例えば、「A」と言えば音叉を叩いて出てくるAの音程ひとつしかありません。
TAB譜の表記のように、ギターでは音を捉えるとき「何弦の何フレット」という風になりやすいわけですが、コード攻略には「ドレミ~」であったり「CDE~」という音の名前も知ってゆくことが重要です。最後にもうひとつ、コード攻略に欠かせない音の読み方を紹介します。それが「度数(音程)」です。
「C」から数える場合Cを1度とし、順にD=2度、E=3度、F=4度、G=5度、A=6度、B=7度、となります。この度数にはさらに細かな決まりがあるのですが、また次の機会に説明してゆきます。
<まとめ>
◇ギター指板上の音には名前がついている。絶対音を指す固有の音を表すときには英語の「CDEFGAB」を使う。
◇「CDE~」以外にも、「ドレミ~」や「1度2度3度~」という読み方をする場合がある。
今回は②弦上の音を見てゆきました。まずはギターの②弦をピアノのように見たてて、ドレミを覚えてみてください。そうして5つのコードフォームでCのコード鳴らしながら②弦上のドレミの音が含まれていることを確認してみると良いでしょう。